インクと紫煙と珈琲と。

買った本、読んだ本。数多ある本たちとの数奇な出会いを綴ります。

2017/03/18

一日、何も出来ない日。うーん、つらい。ひたすら眠くて一体今日何時間起きていたんだろうか・・・

 

先日までの読了本が上げれてなかったので一挙放出。

3/13読了。久世光彦「一九三四年冬ー乱歩」(新潮文庫)。

3/15読了。中村明日美子ダブルミンツ」(EDGE COMIX)honto電子版。

3/16読了。三上延ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~」 (メディアワークス文庫)。

3/17読了。蒼月海里「幻想古書店で珈琲を―心の小部屋の鍵」 (ハルキ文庫)。マツオヒロミ「百貨店ワルツ」(リュエルコミックス)。

 

「一九三四年冬ー乱歩」いやぁ、面白かったです。久世光彦は作家本業の方では無いですが丹念な江戸川乱歩論の研究の結果、この作品が出来たのでは、と思えるほど現実と虚構入り混じり、思わず頭がクラクラしてしまいました。中国人美青年と米国美女に翻弄され、作品執筆のスランプに悩み、宿に投宿しそこで一つの作品を描くたったわずか4日間の出来事が綴られつつも、久世乱歩(笑)の架空の小説まで読めてしまうという豪華ぶり。小説の中で小説を読むという不思議な体験は簡単にできることではない。乱歩文献としても大事にして良い作品だと感じた。現在は創元推理文庫所収版が一般書店で手に入ります。

 

一九三四年冬―乱歩 (創元推理文庫)

一九三四年冬―乱歩 (創元推理文庫)

 

 

ダブルミンツ」は何度目かの再読。【高校で巡り合う二人の「イチカワミツオ」。学生時代に交わした「主従関係」は大人になった時、再びその効力を発揮する。高校時代には無かった形で「主従関係」は継続するが、飼い主側だったミツオの過去を辿り、それは「主従関係」から解離し、別の形となっていく。】・・・一体何度買っては手放し、買って手放しを繰り返したんだろう・・・。こちらは内容的にBL要素が濃い漫画なので、今回は電子版で購入してみましたが・・・巻末のエピローグコミックが所収されておらずショック・・・あれが好きな人間には酷なので近いうち紙本で再購入します。「同級生」シリーズで一気に人気に火が付いた中村明日美子の「アングラ」世界にどっぷり浸れる世界の一冊。中村明日美子の作品の中では「Jの総て」(太田出版)、「ウツボラ」、そしてこの「ダブルミンツ」のようなトーンが好きで、実は「同級生」は可愛すぎてムズムズしてしまうのです・・・(なんか変な表現だ)。「ダブルミンツ」はまさかの実写映画化が決まりました。・・・正直あまり興味持てませんが。まだまだ中村明日美子の活躍が期待出来そうです。

 

ダブルミンツ (EDGE COMIX)

ダブルミンツ (EDGE COMIX)

 

 

 

新装版Jの総て1 (中村明日美子コレクション 4)
 

 

 

ウツボラ(1) (F×COMICS)

ウツボラ(1) (F×COMICS)

 

 「ビブリア古書堂の事件手帖」はシリーズ最終巻。全7巻、本当に楽しませていただきました。有終の美のような題材・シェイクスピアとファースト・フォリオについては篠川親子の市場競りシーンが圧巻。参考文献がとてつもない量で、それを読み込み、作品に惜しむことなく取り込める、三上延という作家に拍手を送りたいです。

 

 「幻想古書店で珈琲を」はシリーズ第四段。「ジキル博士とハイド氏」、「水の精(ウンディーネ)」と、相変わらず不朽の名作を題材にしたストーリーが二篇。そして間にT(テーブル)RPGというゲームを題材にした時空の歪みに迷い込んだ司とコバルトの冒険譚。これが可笑しくて大笑いしてしまいました。蒼月海里の諺の捩りが本当に面白い。若い子が間違えてる方を覚えなければいいですが(笑)ストーリー終盤は、どうやらエンディングに向かっている様子。司、亜門、コバルトという三人の本当の「幸せ」は誰によって、齎されるのか。次巻も楽しみです。

 

 

 「百貨店ワルツ」はマツオヒロミ初の商業誌。実業之日本社が同人誌として展開していたイラストレーター・マツオヒロミの作品をまとめ、作品にしたもの。全編が二十世紀初頭(大正〜昭和初年)にかけてをイメージし、描かれた架空の百貨店「三紅百貨店」の館内や商品、型録(カタログ)、ポスターなどで、まるで実際にあった過去の百貨店の歴史の編纂を見ているようでとても素敵。既に15刷だったので画集としては結構売れている様子。画集の他にも短編漫画も収録されており、それがまた可愛く、美しく、優雅。典雅とはこういう時に使う言葉なのだろうか。もう一回り大きな画集もあったので次回、購入を検討してみたい。飾れる場所があるなら、是非ともレイアウトの一つに入れたいくらい、素敵な作品です。

 

百貨店ワルツ (リュエルコミックス)

百貨店ワルツ (リュエルコミックス)

 

 

だいぶ、長くなってしまいましたが生存報告と合わせ、読了本のご紹介でした。買った本のご報告はまた、後日。花粉症が早く落ち着いて欲しい、そんな主でした。ではでは。

 

 

江崎 すみ歌。